世の中の観察日記

世の中を見て、思ったこと・考えたことを自由につづって参ります。このブログを読んでくださる方々と、「安心」を共有することを望んでいます。

横浜市の大型マンションが傾いた問題について。

横浜市の大型マンションが傾いた問題についてのニュースが、

毎日流れています。

 

皆様もご存知でいらっしゃると存じます。

 

問題の原因は、一部の杭が、

支持層と呼ばれる固い地盤に届いていなかったという、

旭化成建材」が行った杭打ちの基礎工事にあった、

と言われていますね。

 

また、この杭打ちのデータには偽装があった、

ということも判明しているそうですね。

 

通常、マンションの建設にたくさんの下請け業者が関わっている

と同様に、このマンションでも、

売主が三井不動産レジデンシャル

元請けが三井住友建設

杭打ちについての1次下請けが日立ハイテクノロジーズで、

2次下請けに、旭化成建材の名が出てきて、

さらに、いくつもの下請け業者が関わっているそうですね。

 

私は、この問題の原因は、

「お客様の立場になって考える」

という、もう誰もが知っているような心構えが、

どの会社・業者にも欠落していたことにあるのではないか、

と思っています。

 

実は、このニュースを見ながら、

私はあることを思い出していました

 

私は以前勤めていた職場で、ある仕事を上司から指示され、

最初はその通りに仕事をしていました。

 

不正ではなかったのですが、

守秘義務に則り詳しく書くことができませんが)

途中で、お客様(お得意様)にご負担・ご迷惑をおかけしている

ということに気づき、上司にその旨を伝えました。

 

すると上司からは、

「時間がないから仕方ない」

という言葉が返ってきました。

 

そこで私は、上司に、

「時間がないから仕方ない、というのではなく、

時間がなくてもお客様にご迷惑をおかけするわけにはいかない、

と私は考えますから、やり方を変更してほしいです」

と伝えました。

 

すると、翌日上司から、

「あなたの言う通りにすることはできないので、

あなたはもうそれをしなくていいです」

と告げられ、私はその仕事から外されました。

 

そのときの、私の上司は、

さらに、その上の上司の意向を気にしていたのだと思います。

おそらく、その上の上司は、またその上の上司の意向を気にして……

永遠に上に向かって、意向が気にされていたのかもしれません。

 

この度のマンションの建設においては、

2次下請けは1次下請けの期待に応え、

1次下請けは元請けの期待に応え、

元請けは売主の期待に応えようとしたのかもしれません。

それはそれで、まちがっているとは思いません。

 

しかし、マンションを建設するにあたり、

関わる会社・業者の中に、

このマンションを購入する最終消費者の期待に応えること

忘れている会社・業者が1社でもあれば、

よいマンションは建たない、と私は思います。

 

この度の問題は、下請け業者が時間やコストの面で

「工期を遅らせることはできない」という

プレッシャーの中にあったため起きたのではないか、

という見方がなされています。

 

下請け業者が、「工期」に追われてデータの偽装を行い、

「このマンションに、自分が住むとしたら」

と考えることができずに、いい加減な工事をしてしまったならば、

それはそれで責任があると思います。

 

但し、私は、たくさんの会社・業者が関わって、

一つのものをつくりあげようというとき、

少なくとも、一番強い立場にある会社・業者・人が、

「お客様の立場になって考えなければならない」

「お客様に迷惑をかけることがあってはならない」

という心構え・熱意をもって、

そのためにはそれを、下部組織まで浸透させなければならない、

と考えることができたならば、

この度のようなことは、防ぐことができたかもしれない、

と思います。

 

マンションの建設にあたって、「基礎」工事が大事であるように、

施工にあたっての思いの「基礎」に、「最も大事なこと」は何か

を問うとすれば、私には、

「お客様の立場になって考える」が真っ先に思い浮かびます。

 

実際に傾いているマンションを目の前に、

各会社・業者の行う対応の「基礎」に、

「今、マンションに住まわれている方々の立場になって考えること」

が必要不可欠なのは、言うまでもないと思います。

 

 

お読みくださいまして、どうもありがとうございました。