世の中の観察日記

世の中を見て、思ったこと・考えたことを自由につづって参ります。このブログを読んでくださる方々と、「安心」を共有することを望んでいます。

「テロ事件」から、思うこと。

11月13日の夜(日本時間では14日の早朝)に起きた

フランス・パリでの同時多発テロのニュースが、

今日も、報じられています。

 

イスラム国と名乗る過激派組織の残虐な行為によって、

命を奪われた方々の無念さ、

ご遺族の方々の悲痛さ、

そして、命は助かったものの、

この上ない恐怖を経験した方々の心痛を思うと、

私も胸が痛みます。

 

そして今、「実際に可能な行動」として、

どのようにすることが一番いいことなのか、

深く考えさせられます。

 

空爆」が与える「打撃」は、

その時に何らかの効果があるのかもしれません。

しかし、これが「解決」になるとは、

どなたも思っていないのではないかと思います。

 

「制裁」であろうと、「正当防衛」であろうと、

空爆」は、「真の解決」とは結びつかないと思います。

 

私は、テロ事件が起こるたびに思い出すことがあります。

それは、浄土宗の開祖・法然上人のお父様の言葉です。

 

法然・愚に還る喜び』(P63.64)によれば、

地元の警察のような存在の「押領使(おうりょうし)」であった

法然上人の父・時国(ときくに)は、夜襲を受けて亡くなっています。

 

そして、当時9歳であった法然上人はその場に居合わせ、

父親の命が奪われるところを、目の当たりにしてしまいます。

 

息を引き取る前、時国は、わが息子に、次の言葉を残したそうです。

「今回のことは、私自身の宿業によるものだ。敵討ちなど考えるな。そんなことをすれば、怨みが怨みを呼ぶだけだ。それよりも出家し、悟りを開き、私の菩提を弔ってほしい」

 

時国は、息子が敵討ちをすれば、今度は、息子の命が狙われる。

自分が亡くなっても、息子の命をまもりたい。

だから、そのためには息子に「敵討ちをさせてはならない」

とお考えになったようです。

 

時国が、一番したかったことは、

「わが息子の命をまもること」であり、

時国が残した言葉は、それを一番可能にする言葉だった

と私は思います。

 

私たちは、先に逝かれた方々の思いを受け取って、

命を大切にしていかなければなりません。

 

この「命を大切にする」ということを考えていると、

私は、「自爆テロ」のことが非常に気になります。

 

自爆テロを行う人たちの中には、

「この世に居場所がない」

「自分に価値を見出せない」

「生活が貧しい」など、

将来に希望を見出せず、「絶望」している人たちがいて、

その「絶望」の中にいるところをスカウトされ、

「ここにあなたの居場所がある」

「死によって英雄になれる」

「家族の生活が保証される」などというふうに

洗脳されていくのだと聞きます。

 

ということは、

「この世に居場所がない」

「自分に価値を見出せない」

「生活が貧しい」と思っている段階で、

自分の居場所、自分に対する価値、生活の保証について、

何らかの希望が見えていれば、

自爆テロ」にまで発展させずに済むかもしれない、

と考えることができると思います。

 

私は、社会の中で、以前から気になっていたことがあります。

 

例えば「人生、何度でもやり直しできる」と言う社会が、

失敗した人間に、やり直しのチャンスを与えないことがある、

と思ったことがあります。

 

また、例えば、「価値のない人間などいない」という言葉を

社会の中から聞くことがありますが、

人を人と思わないような、モノ扱いするような場面を、

社会の中で見かけます。

 

人が人にやさしくされ、大切にされると、

そこに「居場所」を見つけ、

自分に「価値」を見出し、

ここで「生きていこう」と思えるのではないか、

と私は思います。

 

人に、心から、大切に思われている人の中から

自爆テロをする人」は生まれないと思います。

そして、「命を大切にする人」が生まれると思います。

 

自爆テロ」の数が減るということは、

「人が人を、大切に思うこと」が増えた、

という証になるかもしれません。

 

居場所がないと思った人たちが、

そこに居場所があると思って赴いた先で、

結局、利用されているだけならば、

やはり、そこも居場所ではなかったはずです。

 

悲しい事件を一つでもなくすためには、

「人が人を、大切に思うこと」が、

スタート、なのではないかと私は思います。

 

 

お読みくださいまして、どうもありがとうございました。

 

引用文献

法然・愚に還る喜び』町田宗鳳 日本放送出版協会

法然・愚に還る喜び―死を超えて生きる (NHKブックス No.1168)