お寺にお参りに行くと、
いろいろな仏像や菩薩像などにお目にかかれることがあります。
私は菩薩様が好きですが、
実は、「不動明王様」のことも気になっています。
ほとんどの仏像に、穏やかな感じがあり、
人々をやさしく穏やかに導こうという感じがありますが、
不動明王様はもの凄く怒った顔をしていて、
「忿怒(ふんぬ)の形相」とよく言われていると思います。
本に書かれている不動明王様は、
衆生を厳しく導いて、
真理に目覚めさせるという役目を担っており、
手に持っている剣で、
人々の煩悩を打ち砕いたり、魔を退けたりする、
という説明がなされていると思います。
私もそのように解釈しております。
しかし、『常識として知っておきたい日本の三大宗教』
という本を読んでから、私の不動明王様に対する見方には
あることが加わりました。
その本(P211)には、
「不動明王は、もとは古代インドの神。インドにはドラヴィダ族という先住民がいたが、西方から侵攻してきたアーリア族に圧迫された。その隷属生活の苦悩から、不動明王の顔はゆがみ、目や歯が不ぞろいになって、鬼のような形相になったといわれている。」
と書いてありました。
苦悩のあまりに、ゆがんだ顔。
恐怖のあまりに、不ぞろいになった目や歯。
神仏である不動明王様に、人たる私が申し上げるのには、
はなはだ失礼なこととは存じますが、
ただ厳しいというだけでない不動明王様を知ってから、
私は、不動明王様を、怖いとは思えなくなりました。
そして、偶然テレビなどで不動明王様をお見かけすると、
「大丈夫、大丈夫」と、
私は、私の口ぐせをお伝えしたくなるのです。
私は、もしかしたら、不動明王様は、
「誰かに強く攻め寄って、相手の顔をゆがませないように」
ということも、
私に教えてくれようとしているのかもしれないと、
この時から、思うようになりました。
お読みくださいまして、どうもありがとうございました。
引用文献
『常識として知っておきたい日本の三大宗教』歴史の謎を探る会
常識として知っておきたい日本の三大宗教―神道・儒教・日本仏教 (KAWADE夢文庫)