世の中の観察日記

世の中を見て、思ったこと・考えたことを自由につづって参ります。このブログを読んでくださる方々と、「安心」を共有することを望んでいます。

「オレオレ詐欺」「振り込め詐欺」などの事件から思うこと。

先日、75歳の女性が、オレオレ詐欺で1億円もの被害を受けた

というニュースを耳にしました。

 

オレオレ詐欺振り込め詐欺など、名称はともかくとして、

このような詐欺、被害は、だいぶ前から起きていますが、

犯人の手口の巧妙さに手の打ちようがなく、

なかなかなくならない、という状況が続いていると思います。

 

また、「少しでもおかしいと思ったら相談を」

というフレーズを耳にすることがありますが、

その「おかしい」に、気づくのが難しいから、

このようなことになっているのだと思います。

 

ただ、私は、「だます・だまされる」以前のところで、

一つ思っていることがあります。

 

例えば、息子をよそおった男性が、

「監査があるのに、お金が合わない(足りない)」

「小切手を落としてしまった」

「会社のお金が入ったカバンを電車に置いてきてしまった」

「会社のお金をつかってしまった」などの理由で、

母親に電話をしてきた、というような場合です。

 

母親がお金を用立てる理由は、

「本当に困ったときは自分を頼りにしてくれるんだ、ということが

 うれしくて」

「今まで疎遠だった息子が連絡してきてくれた。

 これをきっかけに、コミュニケーションが復活するかもしれない」

「息子を助けなければ、息子の人生が台無しになるかもしれない」

「わが息子のことなのだから、用立てるのは当然だ」

など、いくつも考えられると思います。

 

なかには、

「ここで恩を売っておけば、老後を看てもらえるかもしれない」

という見返りを考えて、お金を用立てる親もいると思います。

 

他にも理由はあると思います。

 

しかし、いずれにしても、

お金に困った息子に「お金を用立てる」ということが、

必ずしも「愛情」とは言えない、と私は思います。

 

先ほど挙げた例は、

「監査があるのに、お金が合わない(足りない)」

「小切手を落としてしまった」

「会社のお金が入ったカバンを電車に置いてきてしまった」

「会社のお金をつかってしまった」

といったものですが、

私は、どれも、「実話」であったとしても、

母親が息子にお金を用立てる必要があるとは、

思えないのです。

 

もし、本当に、わが息子が

「失敗してしまった」「いけないことをしてしまった」ならば、

母親は、

「会社に、正直に話して、あなたは叱られなさい」

と言ってあげるのも「愛情」ではないか、

と思うのです。

 

ここで正直になれるかどうか、

叱られようと思うかどうか、

それは、息子のその後の生き方に関わってくることなのではないか、

と私は思います。

 

また、もし、このように考えるとすれば、

「お金を用立てる」ということ自体がなくなりますので、

「だまされる」はなくなります。

 

「お金を渡す前に、息子に電話をして確認する」

という作業もいらないことになります。

  

但し、お金を用立てない選択をしたとしても、

親として、「その後、どうなったの?」と、

息子に尋ねることはしてほしいです。

 

そして、行き詰まっているようであれば、場合によっては、

その時、はじめて、本当に援助してあげてもいいのではないか、

と私は思います。

 

私は、社員が紛失した金品等を、

まず、最初に用立てようとするのにふさわしいのは、

「会社」だと思います。

業務上のことだからです。

 

また、息子が出した損失を会社が立て替えるなどしたことで、

正式に、会社が息子に求償権を行使して(=会社が賠償を求めて)いる

場合などには、

親が、正式に援助してもいいのではないか、と私は思っています。

 

(「求償」については、よろしければ以下をご参照くださいませ。) 

■求償(きゅうしょう)

 法律上返還義務または返済義務のある他人のために、自らの財産をもって返還または返済を立て替えた場合に、その立替分の返還を請求すること。たとえば、主たる債務者に代わって保証人が弁済した場合、保証人が主たる債務者に対して、弁済額の返還を求める場合が該当する。

 また、他人の行為によって損害賠償義務を負う者(事故を起こした労働者の使用者など)が賠償をした場合、その賠償金額の全部または一部について本人による弁済を求めた場合なども、これに該当する。

                   (『デイリー法学用語辞典』より)

 

いずれにしても、

「だます」という行為をする人が一番いけないはずです。

 

しかし、そういう人がいなくならない現実があります。

 

オレオレ詐欺」「振り込め詐欺」などの事件に

巻き込まれないようにするためにも、

私は、だます・だまされる以前のところにも注目して、

このような事件が、一つでもなくなることを願っております。

 

 

お読みくださいまして、どうもありがとうございました。

 

引用文献

『デイリー法学用語辞典』三省堂

 デイリー法学用語辞典