世の中の観察日記

世の中を見て、思ったこと・考えたことを自由につづって参ります。このブログを読んでくださる方々と、「安心」を共有することを望んでいます。

禅語「和顔愛語(わげんあいご)」。

「和顔愛語(わげんあいご)」という禅語があります。

 

ご存知の方も多いと思いますし、

また、どういう内容か、文字からだいたい想像がつく、

という方もいらっしゃると思います。

 

おわかりの通り、「和顔愛語」は、

人に、「和顔……和やかな顔」で、

「愛語……やさしい言葉」をかけましょう、

と説いている禅語です。

(『ほっこり、やさしい禅語入門』P12を参考にしました)。

 

因みに、仏教では、

お金を必要としない、いつでも誰でもできるお布施を、

無財の七施」といって、7つ挙げています。

(「七施」は「しちせ」とも「ななせ」とも読まれています。)

 

超訳仏教の言葉』P97を参考にして、

簡単に説明させていただくと、

無財の七施」とは、次の通りです。

  1. 眼施(がんせ):人に優しいまなざしを向けること。
  2. 和顔悦色施(わがんえつしきせ):和やかな顔で、いつでも微笑みを絶やさないこと。
  3. 言辞施(ごんじせ):優しい言葉を、適切な場面で話すこと。
  4. 身施(しんせ):人に手を貸すこと。
  5. 心施(しんせ):人を思いやること。
  6. 床座施(しょうざせ):座席や道を譲ること。
  7. 房舎施(ぼうしゃせ):家に人を招いてもてなしたり、家を清潔に保ったりすること。

 

皆様の中に、以上の7つの中のどれかを、

「私もしたことがある」

という方がいらっしゃると思います。

 

全部なさっている方もいらっしゃると思います。

 

それが「お布施である」とは思っていなかった、

という方はいらっしゃるかもしれませんが、

おそらく、お布施をしたことがないという方は、

世の中にいないだろう、と私は思っています。

 

「和顔愛語」にお話を戻しますが、

「和顔愛語」は、上記の2.と3.にあたります。

 

人から「和やかな顔」で「やさしい言葉」をかけていただくと、

うれしくなりますね。

 

また、自分から人へ「和やかな顔」で「やさしい言葉」をかけ、

どなたかに喜んでいただけたら、またそれもうれしいことですね。

 

そして、「和やかな顔」で私が思い出すのは、

昔、ある憲法の先生が授業中におっしゃったことです。

 

何年も前のことになりますが、

皇太子妃雅子様が、ご実家でご不幸があったために、

里帰りされたところがテレビで流れたときのことです。

 

「皆さん、テレビで見ましたか?

あの時、雅子様は報道陣のほうに振り向いて、

少しほほえんで家の中に入っていかれましたよね。

あの、雅子様のほほえみは、

皆さんに不幸をうつさないように、

という意味の笑みなんですよ」

 

私は、笑顔に、

そういう意味の笑顔もあることを知って、

とても感動しました。

 

あの時の雅子様は、

本当に、本物の「和顔」をされていたと、

私は記憶しております。

 

また、もしかしたら、

日常生活を送る中で、

不機嫌な顔をした方と出会ってしまっても、

自分が和やかな顔をしていれば、

不機嫌がうつらないようにできるかもしれない、

と思えてきます。

 

そして、「愛語」についてなのですが、

私は、場合によっては、

「厳しい言葉」「都合の悪い言葉」も、

「愛語」に含まれるだろうと思っています。

 

愛している人に、愛しているからこそ、

「厳しい言葉」「都合の悪い言葉」をかける、

ということは、きっとあると思います。

 

例えば、

危ないことをしている子どもに注意をする親の言葉が、

子どもにとって都合の悪い言葉であることもあると思いますが、

親は注意をしないわけにはいかないと思います。

 

「きっと言われたくない言葉だろう」

とわかっていながら、

「しかし、その人に、今必要な言葉なはずだ」

と思って、その言いにくい言葉を発するというのは、

やさしい気持ちをもとに発した、

愛の言葉だと思うのです。

 

ですので、

このような注意をする時に用いられる言葉は、

「愛語」だと思います。

 

「和顔愛語」=「和やかな顔」で、「やさしい言葉」を、

というのは、

誰もが知っているような言葉ではありますが、

いろいろな解釈ができて、

まだ、これから見つかる解釈も、

ある気がいたします。

 

 

お読みいただきまして、どうもありがとうございました。

 

引用・参考文献

『ほっこり、やさしい禅語入門』石飛博光 成美堂出版

ほっこり、やさしい禅語入門―心豊かな毎日をおくるための禅のことば

超訳仏教の言葉』鳥沢廣栄 彩図社

超訳仏教の言葉