「苦しみと向き合うこと」について。
今年に入ってから、
『ドイツ人禅僧の心に響く仏教の金言100』
という本を読みました。
著者は、ドイツ人禅僧のネルケ無方さんという方で、
彼が影響を受けたという「100」の仏教に関する言葉が
この本で紹介されています。
「第四章」は「困難を乗りきるための言葉」という章で、
「災難に遭う時節には、災難に遭うがよく候。死ぬる時節には、死ぬがよく候。是はこれ災難をのがるる妙法にて候」
が紹介されていました(P176)。
「災難に遭ったときには、災難と向き合う。死が来たときには、死と向き合う。それは災難から逃れる妙なる方法である」(P177)
「私には、人に向かって言う資格はない。しかし、いざ自分がひどい目に遭ったときには、ぜひとも思い出したい言葉だ」
「どんなに辛いことがあっても、現実を直視しよう。現実を受け止めた上でなければ、新しい未来はつくれない」
とおっしゃっています(P177)。
この良寛さんの言葉は、
ご存知の方もいらっしゃったと思いますが、
私はこの度、改めて読んでみて、
「困難を乗りきることは、向き合うことから始まるんだ」
と、改めて思いました。
また、「今、苦しいことがあるなら、今、その苦しみと向き合う」
というように、
向き合うことは、後でするものではなく、
「苦しい真っ最中」にするものだと思いました。
実は、この本の別のページ(P142)には、
「楽をしたいと思わなくなったとき、初めて楽になれる」
と書かれている箇所があります。
合わせて考えると、
「楽をしようとせずに、苦しみと向き合おう」
という決心ができれば、
「楽になれる」ということになると思います。
そしてこれは、状況を受け止めた、ということだと思います。
もし、すぐに向き合う決心ができなくても、
「苦しみと向き合おうか」という気持ちが芽生えただけでも、
向き合っていなかったときよりも楽になっている、
という気が私はいたします。
ですので、まずは「向き合おうか」という気持ちになってみて、
「本当にこれで、私は楽になるのか」を確認してみても、
いいかもしれないですね。
そして、少しでも楽になれたなら、
ますます向き合って、もっと楽になれるといいと思います。
私は、自分が逃げたい方向と逆のほうを向く、
ということをしてみるだけで、
未来が開けてくる予感がします。
本日も、お読みくださいまして、どうもありがとうございました。
引用文献
『ドイツ人禅僧の心に響く仏教の金言100』ネルケ無方 宝島社