今月15日に、長野県軽井沢町で起きた、
スキーツアーバス転落事故のことは、
皆様もご存知でいらっしゃることと存じます。
14人(大学生12人と運転手2人)が命を落とした、
若者たちの未来も奪われた、
大変痛ましい事故です。
葬儀が行われている様子がニュースで流れていましたが、
ご遺族やご友人の、自分の気持ちもよくわからないままの、
何が起きたのか、事態をとらえられないままのお別れであったことと
存じます。
命は助かったという方々も重体や、重傷を負い、
非常につらい経験をしてしまったことと存じます。
倒れている友人を目の当たりにし、
呼びかけても返事がない……
その時の気持ちを思うと、胸が詰まります。
ツアーを企画した旅行会社である「キースツアー」と、
この度、事故を起こしたバス会社である「イーエスピー」は、
道路運送法で規定されている基準を下回る運賃で、
契約を結んでいたそうです。
しかも、キースツアーの福田社長は、
基準を下回っている認識がなかった様子でしたが、
それを鵜呑みにすることもできません。
いずれにしても、私には誠意が見えません。
また、イーエスピーは、この度の事故が起こる前から、
ずさんな運行管理をしていたことが発覚しています。
そして、斑尾高原に向かっていたイーエスピーのこのバスは、
ルートを変更して走行したことがわかっていますが、
運転手が勝手にしたことではあるようですが、
「利益を生み出すために安全面をおろそかにした」
という可能性が疑われています。
利益の出にくい受注であっても、
「安全面は譲りません」という会社もあると信じたいですが、
利益の出にくい受注から、
「安全面を強化する」という発想は、期待できない、
と考えるのがふつうではないかと思います。
但し、利益の出やすい受注というものがあったとしても、
「より利益を得よう」として、
結局、安全面を強化することのない会社が出てくる、
という気もいたします。
利益の出やすい受注であるほうが、
安全面に配慮できる基盤があることになりますから、
利益は出やすいほうがいいのかもしれません。
ただ、安いほうを選ぶ消費者が圧倒的な人数である限り、
価格はどうしても下がっていき、
利益の出にくいものが多くなっていくのだと思います。
ですので、今、バス会社や旅行会社に限らず、
社会全体に、「安全第一」の風潮が、
もっと漂わなければならないのではないか、
と私は思います。
そして、ますますの法整備が不必要とは思いませんが、
結局、法律があっても、安全基準を引き上げても、
さらに、倫理規定をどれほど掲げても、
遵守されなければ、
この度のような事件が起きてしまいます。
ですから、遵守しなければならない事柄を増やすことよりも、
その仕事に携わる方々が、
「遵守しよう」と「心から思えるようになること」という、
たった一つのことのほうが、
断然必要なことであろうと思います。
もっといえば、本当は、
どこにも書かれていなくても、
「人の命を大事にすること」を優先する認識が
何より大事で、必要なことだろうと思います。
安全基準を引き上げるばかりでなく、
「人の命がどれほど大事なものかの理解」を引き上げなくては、
どうしようもない、と思います。
いつの日も、一番わからなければならないことは、
「命の大事さ」。
私はそう思います。
お読みくださいまして、どうもありがとうございました。